法人化して後悔する7パターン|法人化すべきかの判断基準とタイミング

法人化して後悔する7パターン|法人化すべきかの判断基準とタイミング |

法人化で後悔する主な理由

法人化には多くのメリットがありますが、それに伴うデメリットや責任も理解しておくことが大切です。

  • 節税効果が期待ほどではなかった
  • 初期費用と維持費が高い
  • お金の自由度が下がる
  • 手続きや事務作業が増える
  • 経営方針の決定に制約が出る
  • 責任やストレスが増加する
  • 廃業する場合の手間も大きい

法人化の後悔1.思ったよりも節税効果がなかった

法人化は一概に節税につながるわけではなく、利益の額や経費の管理方法によって結果が大きく変わります。節税効果を期待する場合は、事前のシミュレーションや専門家との相談が重要です。また、税務管理の正確さも税負担に影響するため、注意が必要です。

利益によって変わる節税効果

高い利益がある場合:法人化すると税率が一定なので、個人の累進課税よりも税負担を減らせる可能性があります。
利益が少ない場合:個人事業主の方が税率が低くなり得るため、法人化しても節税効果は限定的です。

法人税の基本

法人税は普通法人に23.2%、利益が年800万円以下なら15%となっています。しかし、この節税効果は年間の利益に大きく依存します。

法人化に伴う税金の課題

多様な税金の発生:法人税だけでなく、法人住民税など、利益に関わらず支払わなければならない税金もあります。
赤字でも課税される税金:特に法人住民税の均等割は、利益がなくても支払いが必要です。

実際の節税効果

節税の実態:多くの場合、法人化による節税効果は利益が一定レベル以上でないと顕著ではありません。課税所得が低い場合、個人事業主としての方が税負担が軽いこともあり得ます。

注意点

税務管理の正確性:法人化すると、税理士による会計チェックが厳しくなるため、経費処理の見直しによって予想外の税負担が生じる可能性があります。

法人化の後悔2.設立コスト・維持費が高い

法人化は、税金面での優遇や社会的信用の向上など多くのメリットがありますが、設立コストや維持費が想定以上に高くなる可能性があります。法人化の決断をする前には、これらの費用を正確に把握し、事前に計画を立てることが重要です。また、可能な限りコストを抑えるために、合同会社の選択や助成金・補助金の活用、サービス提供者の比較検討を行うことが推奨されます。

設立コストの問題

株式会社設立の費用
株式会社を設立する際には、少なくとも222,000円の実費がかかります。これには定款認証印紙代、定款認証手数料、登録免許税が含まれます。さらに、代行サービスを利用する場合は、その手数料が上乗せされます。
合同会社の選択
法人化の形態として株式会社だけでなく、合同会社も選択肢にあります。合同会社は設立コストが低く抑えられるため、初期費用を節約したい方に適しています。
代行サービスの費用比較
会社設立代行サービスを利用する際は、複数の提供者の料金を比較し、コストパフォーマンスの高いサービスを選ぶことが大切です。
助成金・補助金の活用
会社設立時には、利用できる助成金や補助金が存在することもあります。これらを活用することで、設立コストをさらに抑えることが可能です。

維持費の負担

社会保険料の増加
法人化すると、社会保険への加入が義務付けられ、保険料の負担が大きくなります。特に、従業員が増えると、その分社会保険料の負担も増大します。
固定費の発生
法人化すると、オフィスの家賃や光熱費など、個人事業主の時にはなかった固定費が発生します。これらの費用は売上に関わらず支払わなければならないため、財務への圧力となります。
専門家へ支払う費用
法人の運営には、税理士や社労士などの専門家のアドバイスが必要になることが多く、これらの顧問料も新たな費用として加わります。

法人化の後悔3.お金を自由に使えない

個人事業主と法人のお金の扱いの違い

個人事業主:事業で得た収入は個人のものとして自由に使うことができます。事業収入を生活費に充てたり、投資に回したりすることが可能です。
法人:法人化すると、事業で得た収入は「会社のお金」となり、個人の資産とは明確に分離されます。代表者であっても、会社のお金を個人的に自由に使うことはできません。

役員報酬の制約

役員報酬の支給:法人化により、代表者は役員報酬を受け取る形になります。この報酬は定期同額の給与が基本で、1年間変更ができないなどの制約があります。
変更のタイミング:役員報酬の変更は、原則として期首から3ヶ月以内に限られます。突発的な変更は難しく、計画的な管理が必要になります。

自由度の低下

個人の自由な支出が制限される:法人の口座からの自由な引き出しは、税務上の問題を引き起こすリスクがあり、横領と見なされることもあるため、避けるべきです。
会社の利益の使用:会社の利益は、家賃、仕入れ、給料などの会社運営費用に充てられます。個人的な用途での使用は制限されます。

対策と考慮点

報酬や賞与の調整:役員報酬のほか、賞与や退職金、役員貸付金などを通じて、個人に対する支出の調整が可能ですが、各制度には細かなルールがあり、適切な手続きが必要です。
経費の見直し:会社運営に関わる経費の範囲内で、可能な限り個人の負担を軽減する工夫も重要です。

法人化の後悔4.管理や手続きの手間が増えて煩雑に

法人化に伴う義務と手間

法律に基づく義務:法人化すると、会社法や税法に従って、少なくとも年に一度、決算を行い、税務申告や決算公告をする義務が生じます。これには専門的な知識が必要であり、時間と労力を要します。

決算書の作成:決算書の作成は会社法、税法、企業会計基準など多岐にわたる法令と指針に基づく必要があり、専門的な知識と注意を必要とします。

税理士への依頼

専門家のサポートが必須:多くの企業では、経理や決算に関する複雑さを理由に税理士への依頼が一般的です。これにより、正確な処理が保証される一方で、ランニングコストが発生します。

管理責任の増大

従業員の管理:従業員を雇う場合、給与支払いや社会保険の手続きなど、管理するべき事項が増加します。
手続きの複雑化:法人としての届け出や事務処理は個人事業主時代に比べて複雑で、多くの手間がかかります。

専門知識の必要性

税金関係の煩雑さ:法人税などの申告は複雑で、自力で管理することが難しいため、専門家との顧問契約が必要になります。
法的手続きの正確性:役員の任期や辞任、就任など、法律に基づく手続きには正確さが求められ、適切な対応が必須です。

決算報告と税務申告の負担

決算期のタイトなスケジュール:法人化により、決算日から2ヵ月以内の申告期限があり、納付も同時に必要です。
複雑な申告書の作成:法人税の申告書は多くの別表を要し、詳細な書類作成が求められます。

定款の変更と登記

定款変更の手続き:事業内容や組織の変化に伴い、定款の変更とその登記申請が必要になることがあり、これも手間とコストがかかります。

法人化の後悔5.経営方針を自由に決められなくなった

経営方針の決定における制約

共同経営の複雑さ:法人化により、出資者や他の役員が関与するため、以前のように一人で経営方針を決めることができなくなります。これは、特に共同で事業を立ち上げた場合や、外部から資金を調達した場合に顕著です。
意思決定のプロセス:法人組織では、重要な決定をする際には株主総会の承認や取締役会の合意が必要となる場合があり、これにより経営方針の決定に時間がかかることや、自身の意向と異なる決定が行われることもあります。

経営方針のズレや変化による影響

方針のズレ:事業を運営していく中で、経営方針に関する意見の相違が出てくることがあります。初めは同じ目標を持ってスタートしても、市場の変化、事業の進展、個々人の価値観の違いなどにより、方針にズレが生じることがあります。
役員の辞任・解任:経営方針の違いから、役員の辞任や解任が起こることもあります。これは、組織内の不和の原因となり、場合によっては事業自体の存続にも影響を与えかねません。

出資者との関係性

出資金の払い戻し要求:経営方針の違いから、出資者が出資金の返還を求める場合もあります。しかし、法人化により集めた資金は会社の資産となっているため、簡単に返還することはできません。
株式買取請求:経営方針の違いで関係が悪化した場合、出資者が株式の買取を請求することがあります。これには法的な手続きが必要であり、会社の財務状況によっては対応が難しい場合もあります。

法人化の後悔6.責任やストレスが増える

精神的ストレスの増加

税務調査の不安:法人化すると、税務調査のリスクが高まると感じる人が多く、これが精神的なストレスの一因となります。
経済的プレッシャー:「売上が上がらなければ税金の面で損をする」というプレッシャーを感じることがあります。特に、業績が伸び悩んでいる場合にこの感覚は強まります。
責任の重さ:法人として取引先や顧客から高いレベルの責任を求められると感じ、これがストレスの原因となることがあります。

責任が増す

経営者としての責任:法人化すると、経営者としての責任が増大します。特に人を雇用すると、従業員の生活や将来に対する責任を感じることがあり、これが精神的な負担につながります。

法人化の後悔7.廃業・解散は簡単にはできない

法人の廃業・解散の手続きの複雑さ

法的手続きの多さ:法人の解散には、解散決議、清算人の選定、債権者への告知、財産の清算、最終決算の作成、株主総会での最終決算報告の承認、解散登記など多くの手続きが必要です。
時間とコスト:解散手続きは通常、数ヶ月から1年以上かかることがあり、解散登記にかかる登録免許税や官報公告費用など、意外と高額なコストが発生します。
税務上の手続き:解散決議があった後には、税務署に対して解散確定申告を行い、未納の税金があればこれを清算しなければなりません。

債権・債務の清算

債権債務の整理:法人解散時には、会社の資産の売却や債権の回収、債務の弁済など、会社が持つ債権債務の清算を行う必要があります。これらのプロセスには、専門的な知識と細心の注意が必要です。

再開業への道

個人事業主への移行:法人を解散した後に再び個人事業主として事業を行いたい場合、個人事業の開業届け出や、必要な場合は青色申告承認申請などの手続きが必要になります。

 

法人化(法人成り)すべきタイミングはいつ?

法人化(法人成り)すべきタイミング

法人化すべきタイミングは、事業の規模、売上、税負担、取引の性質、そして事業の成長計画によって異なります。

1. 所得税の税率が上がる時

累進課税の影響:個人事業主の所得税は累進課税であり、所得が増加すると税率も上がります。対して、法人税は所得に応じて2段階の税率が適用されるため、ある点からは法人化した方が税率を抑えられる可能性があります。
税率の比較:事業所得が一定額(例えば年収800万円以上)を超えると、法人税の方が相対的に税負担が軽くなる場合があります。このため、所得の増加が見込まれる場合には法人化を検討するのが適切です。

2. 大口の取引が増えた時

信用度の向上:大規模な取引を行う際、取引先は法人との契約を好む傾向にあります。法人化によって社会的信用度が向上し、大口の取引機会が増える可能性があります。

3. 人手が必要になった時

雇用の容易さ:事業が拡大し、人手が必要になった場合、法人としての方が優秀な人材を確保しやすくなります。求人に対する応募者は、安定した法人を選ぶ傾向にあるためです。

法人化すべきタイミングの目安

年間売上が1,000万円を超えた場合

所得が増加し、消費税の課税対象となる可能性が高まる場合、税務のメリットを享受するために法人化を検討します。

資金調達を検討している場合

外部からの資金調達を容易にするため、または事業拡大を目指す場合には、法人化が適切な選択となります。

法人化して後悔しないための注意点

法人化の手続きと税金について学ぶ

法人化の手続き:法人設立登記や税務署での届出、社会保険の手続きなど、法人化に伴う諸手続きを理解しておくことが大切です。
税制の理解:法人税や消費税など、法人ならではの税金の仕組みを熟知し、適切な税務対策を講じることが重要です。

専門家に相談・依頼する

専門家のアドバイス:税理士や公認会計士などの専門家に相談することで、法人化のプロセスや税務対策について的確なアドバイスを得られます。法人化の決定に際して専門家の意見を仰ぐことは、不確実性を低減し、成功に導く重要なステップです。

適切なタイミングを考える

所得税の税率:個人事業主の所得税が法人税よりも高くなりそうな場合、税負担を軽減するために法人化を検討します。
大口取引の機会:大規模な取引が見込める場合や、法人としての信用が必要な場合に法人化が有利です。
人材確保:優秀な人材の確保が必要になった時も、法人化による社会的信用の向上が有効です。

資金繰りとリスク管理に注意する

自己資金の確保:法人設立にかかる初期費用や運転資金に余裕を持たせることで、資金繰りのリスクを低減できます。
リスク管理:事業のリスクを評価し、適切なリスク管理策を講じることが、法人化後の安定した経営を実現するために重要です。

法人から個人事業主に戻る(個人成り)方法

個人成りのプロセス

  1. 法人の解散と清算:まず、法人を正式に解散させる必要があります。これには、株主総会での解散決議、清算手続きの実施、債権者への通知と債務の清算、最終的な財産の分配などが含まれます。
  2. 解散登記の手続き:法人の解散後は、解散登記を行い法人の終了を法的に完了させます。
  3. 個人事業の開業届:法人としての手続きが完了したら、次は個人事業主として税務署へ開業届けを提出します。

メリット

消費税の納税免除期間:個人事業主へ戻ると、新たに事業を開始したとみなされ、消費税の納税免除期間が適用されることがあります。
税務処理の簡素化:個人事業主では、法人と比較して税務処理が簡単になり、経理の負担が軽減されます。
社会保険料の負担軽減:法人代表者としての社会保険料の負担がなくなり、個人としての国民健康保険や国民年金に戻ることで、保険料が軽減されることがあります。

デメリット

無限責任:法人としては有限責任ですが、個人事業主では事業に関する責任が無限になり、個人資産もリスクにさらされます。
許認可の再取得:特定の業種では、法人から個人への変更に伴い、必要な許認可を再取得する必要があります。
赤字の繰り越し不可:法人時代の赤字を個人事業主として繰り越すことはできません。
取引の影響:法人から個人事業主に戻ることで、取引先からの信頼が変わり、取引条件が不利になる可能性があります。

注意点

法人解散の複雑さ:法人の解散と清算は時間がかかり、様々な法的手続きを必要とします。
税務署への届出:個人事業主として再スタートする際は、税務署への適切な届出が必要です。

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