中小企業の電子帳簿保存法の実務⑥~生産性を上げたい

税理士の佐野です。
いつもありがとうございます。
電子帳簿保存法関係の実務をするうえで、
本当に考えるべきは、「どうやって経理の生産性を上げるか」
ということだと思っております。
私が電子帳簿保存法に関心を持っているのは、
税理士として帳簿や書類の保存についてお客様の役に立ちたいからということに加え、
自社のワークフローの改善に迫られているからです。
さの会計の仕事の進め方について見直しが必要な状況であり、
特にIT関係ついては、大幅な改善をしなければいけないと思っていました。
そこに、電子帳簿保存法の改正が重なって関心を持ったという感じです。
顧問先のIT企業の社長に相談したときの話です。
決算と申告内容の説明を終えたときに、
「本日お持ちした決算書や申告書というのは、実はこのようにして作成しています。
この決算・申告関連の業務を全部電子化し、ペーパーレスにしたいのですが、
どう進めるのが良いと思いますか?」
という質問をしたのです。
もちろん、税務や会計はパソコンで専用のソフトを用いて行っております。
弊社は、100%電子申告であり、紙で申告を行うのは1社もありません。
電子納税にも力を入れております。
クラウド会計ソフトやらデータ共有だとかオンラインミーティングだとか
そういったもの当たり前にやっています。
しかしそれでも、「確認作業と記録の保管」のために大量の紙を使用しているのです。
お客様は、私からの質問を真剣に考えてくださって、こう答えてくれました。
「紙のままでいいんじゃないですか」
IT企業の社長なので、IT的な感じの自分では思いつかない答えをくれると思って相談したのに、まさかの回答。
「えっ!?どうしてですか?」
って聞いたら、次のように言われました。
「生産性の向上がないからです。ただ単に紙を使って仕事をしているのをパソコン作業にして、紙で保管しているのをデータ保管にする。
それはただ紙がデータに置き換わっただけだから、作業工程も減らないし、作業時間もたいして減らないんじゃないですか?」
「それなら、紙のままでいいじゃないですか」
そういうことかー!
そういう発想なのかー!
さらに続けて、
「作業を自動化したり、確認作業が発生しない仕組みを考えたりできないのでしょうか。ワークフロー自体を見直した方が良いと思いますよ」
と言われました。
本当にその通りです。ありがとうございます。心から感謝しております。
ここに、改正電子帳簿保存法が登場します。
法律ですから、当然それを遵守した仕事の進め方をするのですが、
どうせ仕事のやり方を変えないといけないのなら、
作業時間が減るようにしよう。確認や保管が楽になるようにしよう。
生産性が上がるように変わろう。
となったというわけです。
紙での業務には長い歴史があって、改善が積み重なっており、
生産性が低いどころか、紙で仕事をするのなら、このやり方が良いという
それぞれの会社が自社にあった生産性の高いやり方を持っています。
それを超えていこうということなんですよね。
本気で取り組まないと超えられない壁だと思っております。
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